最近よく耳にするヒトの再生医療ですが、動物にも再生医療があるのでしょうか?

動物の体の中には新たな細胞や組織を作り出す幹細胞というものが存在し、その幹細胞によって長期間、体の組織や臓器を維持しています。幹細胞の一つである間葉系細胞は脂肪組織や骨髄等に含まれていて人医はもちろん動物医療にも使用されることが増えてきています。

もともと獣医療では、設備を持つ各動物病院の裁量の下、病院施設内で培養、調整した骨髄および脂肪組織由来の間葉系細胞を自らが治療する動物に使用するというのが通常でした。最近では一部の研究施設や薬品会社が、健常な動物から採取した脂肪組織を用いて前述の間葉系細胞を培養、製造し設備を持たない各病院でも治療に供することが可能になってきました。

どのような病気の治療に使われているかというと、もっとも多いのが椎間板ヘルニアです。重度な椎間板ヘルニアの場合、手術後も十分な改善がみられず、歩行に問題が残ることもありますが、そのようなときに効果的なことがあります。ステムキュアという製品が発売になりましたが、この商品は椎間板ヘルニアの症例にのみ認可がとれているそうです。他の研究施設でも治療件数としては椎間板ヘルニアがもっとも多く、ついで慢性腸症、乾性角結膜炎、その他の病気にも症例数は少ないながらも効果が認められているようです。

前述したステムキュアの実際の治療法です。培養された間葉系幹細胞が凍結状態で各病院に送られてきます。丁寧に解凍したのち、1時間ぐらいかけて副反応に注意しながらゆっくり静脈点滴します。症状にもよりますが、それを1週間に1回、3セット行います。

まだまだ一般的な治療といえるものではありませんし、100%の効果を期待できるものではありません。費用もかかります。ですが一般的な治療に反応しない難治性疾患に対して試してみる価値はあるように思っています。