芦屋人たちの軌跡 スペシャルゲスト・インタビューVol.12
(テキスト記事はこちらからご覧ください。)



芦屋市立美術博物館館長 廣瀬忠子さん(ひろせ・ただこ)~後編~
前回に引き続き、芦屋の名士のお一人・廣瀬忠子さんのインタビュー後編です。
若い世代は、コミュニケーションが苦手だと言われていますが、コミュニケーションについてどう思われますか?
「コミュニケーションは、とても大事だと思うんですよ。コミュニケーションが下手だから腕力をふるったり、国同士も外交が下手なために武力を用いる結果になってしまうことが多いと思うんです。結局、話できちんと解決できないからなんですよね。だから、私は、衣・食・住にコミュニケーションを加えた4つの柱が大事だと思うんです。
家庭内では、特に母親が上手にコミュニケーションをして子どもをリードできたら、悪い子は育たないんじゃないかと思っています。コミュニケーションですから、話すだけではだめですよ。人が話している間、自分が次に話すことばかり考えている人がいますが、全然人の話を聞いていませんよね。聞くことと話すこと、両方のバランスが大事ですよね。人の話を正しく、ちゃんと聞いてあげる…それが大事!“聞く”ではなく、“聴く”のほうですね。聴くことが大事ということ。耳が大きいから福耳じゃなくて、話をきちんと聴くことができて、それを活かして使えることが、耳の大小ではなく福耳なんだと若い人にお話しすることがあります。
私が若い人とうまくやっていけるのは、聞くことを大切にしているからかもしれません。誰かが失敗したとします。その時、まずその人の話を聞きます。そうして、その人がその人なりにどうやったらうまくいくかを考えてアドバイスします。
お友達同士でお話をしているときは、「この間楽しかったね」「今度もお願い」など内輪の気さくな話題でいいですが、大勢やお友達の中に第3者が加わっているときは、そういう話題は避けてみんなが入れる共通の話題を提供することが大事ですね」
スピーチ力を鍛える団体に所属していると聞きましたが・・・
「ITCという国際的な会の阪神クラブに随分前から入っています。コミュニケーション技術の向上、効果的な話し方の訓練、リーダーシップの養成などを目的として、スピーチ大会などもあります。日本では1938年に初めて名古屋クラブが出来て、そのあと阪神クラブが出来ました。私が所属するクラブは、2番目に古いの。このメンバーで旅行すると、みんなおしゃべり好きなので道中もあっという間です。英語がポンポン飛び交ったり、話題も豊富ですごく楽しいですよ」
ITCでは、毎年スピーチコンテストがあり、クラブの代表に選ばれ、カウンソルで代表に選ばれ、全国大会に出場し5回全国大会で優勝経験があるという廣瀬さん。出るたびに優勝されたとのこと!お見事です。
「でもね、去年はとてもつらかったの。即席スピーチコンテストだったんですよ。スピーチの5分前に論題をもらうの。5分間考えて、はいステージ。で、時計は外される、5分より多くても少なくても1秒につき1点ずつ減点されていくの。どんな論題が出るか分からない状況、あらゆるものごとに自分なりの考えを持っていないと対処できないんですよ。もう、3日前からもの言わなかった、私。すごく集中していたの。しかも、茂木健一郎氏の講演会がスピーチコンテストの後にあったんですけど、私は疲れてウトウト居眠りしていて聞いてないのですが、褒めていただいたようで…。
お隣の方に、「あなたのことを言っているから聞きなさい」と言われました(笑)。あんなに集中したのは、本当に久しぶりで、二度とでーへんって(出ないと)思ったわ(笑)」
新しいことに挑戦しようとする気持ちを持ち、そして実際に挑戦する廣瀬さん。
「好奇心がいっぱいあるんですよ!何見ても、どうして?なんで?とかいろいろ考えちゃう」そう。
廣瀬さんは外見もお若いですが、何より内面がお若いのです。
取材後、「ラムネのお菓子、おあがり。しゅわっとして美味しいわよ」といただいた パステル色の可愛いラムネ。口に含むと、優しい爽快感が広がります。実は、大 変手に入りにくいと言われる奈良の某お菓子屋さんの有名なラムネ。「そうそう、 栗の渋皮煮も作ったの。食べてみてくれる?」「甘いものばかりでは何だから、 丹波の枝豆もどう?」と、どちらがゲストか分からなくなるほどお気遣いいただ き、渋皮煮、丹波の枝豆といただきました。
とても丁寧に渋皮の筋を取り、大事に作った渋皮煮をいただくと、目の前の 廣瀬さんのおおらかな印象とはまた違った繊細なお人柄をさらによく知ること ができました。
※掲載している情報は、2011.11.21の情報です。
そのため記載内容が、最新のものと異なる場合があります。
芦屋人たちの軌跡 バックナンバー
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