キル・ビル

はじめに、今回は2本まとめてのご紹介になることをお断りしておかねばなりません。この「キルビル」は本来、一本の映画として撮影されたものを、長すぎると言う理由で2本に分けたという経緯があり、ストーリーを追う意味でも二本まとめてご紹介するほうが良いと考えたからです。というわけで、今回の映画は「キルビルvol.1」「キルビルvol.2」です。
元殺し屋だったザ・ブライドは結婚式の最中にかつての仲間に襲われて重傷を負います。4年間の昏睡から目覚めた彼女はお腹にいた子供までも奪われたことを知り、復讐を誓います。彼女は標的とするかつての仲間達の名前のリストを手に壮絶な復讐を開始します。彼女は何故、襲撃されたのか、彼女の復讐の行方は?
本作はタランティーノ監督の好む、カンフー映画やヤクザ映画、日本のアニメーション、マカロニウェスタンなどを材料にタランティーノ風の味付けで出来上がった型破りなアクション映画です。斬新でクール、スピード感と共に苦痛まで伝わるようなアクションシーンは素晴らしい出来栄えです。また、vol.1では壮絶な復讐を見せ、vol.2では屈折した愛を見せるストーリー展開は、主人公ザ・ブライドをはじめ、暗殺団の面々、カンフーの達人パイ・メイなど強烈な個性のキャラクターが次々に登場し、観客を引き込んでいきます。
監督のクエンティン・タランティーノは「パルプ・フィクション」「レザボア・ドッグス」などで知られる当代きっての鬼才です。本作でもマニアックな映画愛を斬新な演出で見せつけます。主演のユマ・サーマンは復讐の鬼でありつつも母親、恋人の表情も見せる「ザ・ブライド」を熱演してます。タイトルにもなっている悪役ビルにはデヴィッド・キャラダイン。屈折した愛情をもつ男を演じ、存在感たっぷりです。暗殺団のメンバーでは日系二世のヤクザの姉御役のルーシー・リューもいいのですが、私としては最高に嫌な女、エル・ドライバーを演じたダリル・ハンナが特に印象に残りました。カンフー映画ファンにはおなじみのゴードン・リューが二役で出ているのもファンには嬉しいところです。千葉真一、サミュエル・L・ジャクソンなんかもチョイ役で出ています。
正直なところ、ストーリー展開や設定に怪しい部分も少なくない本作。ルーシー・リューとユマ・サーマンの怪しい日本語のやり取り、奇妙な仮面をつけた配下達、「いつの時代やねん。」とツッコミたくなる風貌のカンフーマスター、パイ・メイなどなど。なのに「タランティーノがやるならいいか。」という気がしてくるから不思議なものです。
いろいろ書きましたが、いま、本作を一言で言いあらわすフレーズを思いつきました。
「タランティーノ、やりたい放題。」
CINEMA DATA
2004年制作
【配給】 | ユニバーサル |
---|---|
【監督】 | クエンティン・タランティーノ |
【出演】 | ユマ・サーマン |
デヴィッド・キャラダイン | |
ルーシー・リュー 他 |
ユニバーサルピクチャーズジャパンよりDVD発売中
©Eiga-zaru 2004-2018
※掲載している情報は、2007.03.01の情報です。
そのため記載内容が、最新のものと異なる場合があります。
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