ミッドナイト・ラン

ロバート・デ・ニーロといえば誰もが知っている名優です。数々の映画に出演し、演技力の高さはもちろん、徹底した役つくりで有名です。(「アンタッチャブル」では体重を増やし、髪を抜いてアル・カポネに扮したのは有名な話です。)「タクシードライバー」「ディア・ハンター」など、数々の名作映画に主演している彼がお気に入りの一本にあげている映画が、今回ご紹介する「ミッドナイトラン」です。
賞金稼ぎのジャックは保険会社からある男をL.Aまで連れてくるように依頼されます。その男デュークは、大物ギャングのセラノの会計士で1500 万ドルを横領し、逃亡していました。難なくN.Yでデュークを捕まえたジャックですが、飛行機恐怖症のデュークのために飛行機での移動を断念し、列車でL.Aを目指します。しかしギャングの刺客や商売仇、はてはFBI までが二人を追いかけて…。
登場人物のほとんどが腹に一物持っていて、騙し騙されという先の読めない展開に目が離せません。特に主役の賞金稼ぎジャックと会計士デューク、この二人のやり取りが最高にしゃれていて面白いんです。二人に友情が芽生えそうなムードになると、片方が裏切るというパターンを繰り返し、観客の目をひきつけます。この二人が罵りあいながらも少しずつ互いのことを知り、友情が芽生えていくという柱がしっかりしているので、アクションや他の登場人物がいいスパイスになっているのではないかと思います。
監督は「セント・オブ・ウーマン」「ジョー・ブラックによろしく」のマーティン・ブレスト。デ・ニーロ扮する賞金稼ぎジャックと渡り合う会計士デュークはチャールズ・グローディンが演じています。デ・ニーロはもちろんのこと、グローディンが実にいい表情でとぼけた会計士を好演しています。短気で荒っぽい賞金稼ぎジャックと、理屈っぽくて口数の多い会計士デュークの二人の掛け合いは本作の背骨のようなものですから、この二人のキャスティングで映画はほとんど成功していたのかもしれません。
さて、本作には女性の登場人物は、チラリと登場するジャックの離婚した妻と娘ぐらいしか出てきません。若い男すら出てきません。もう全編どこを見てもオッサンばっかりです。オッサン含有率の高さでは映画史上有数かもしれません(もちろんそんな統計を取った例はありませんが)。どのオッサンもそれぞれの人生の重みみたいなものを、そこはかとなく感じさせながらも、必死で走り回る様が面白いのかもしれません。
デ・ニーロには珍しいコメディの要素が強い本作ですが、小気味よい演出にハラハラと先の読めない良質の脚本で、「これぞ映画」という楽しみを与えてくれる良作だと思います。機会があれば一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
CINEMA DATA
1988年制作
【配給】 | ユニバーサル |
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【監督】 | マーティン・ブレスト |
【出演】 | ロバート・デ・ニーロ |
チャールズ・グローディン | |
他 |
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンよりDVD発売中
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※掲載している情報は、2006.10.01の情報です。
そのため記載内容が、最新のものと異なる場合があります。
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